監査手続のいろは「販管費」

監査のいろは

販管費の監査って難しいんです。。。ある意味とても。 最近は、人件費項目を除き、重要な勘定から外すので、ますますエラーは見つかりにくくなり、ある意味簡単な科目になってます。 難しいと言ったり、簡単と言ったり意味がわからんという声もあるかと思いますが、本当に両方の側面があると私は思っています。一般に、販管費全体を過年度比較で増減分析し、そのうえで、販管費の構成要素である科目単位での増減分析や科目単位での月次推移分析を行うことにより、大雑把に販管費全体の異常な趨勢や推移がないことを確認します。 このときに、各科目の内容をしっかりヒアリングする必要があります。ここがポイントです。

取引の内容を聞いてみると、それって売上原価じゃないかなとか、営業外じゃないかなとか、その償却費って、資産計上されている残高がまだあるけれども、現時点では資産性がないので全額費用処理しないとダメなんじゃないかなってな項目が出てきます。 非上場会社などでよくある販管費のエラーは、株式交付費等の営業外費用が販管費に計上されている。販管費の中の雑費の中に、本来的には営業外費用として計上するべき項目が入っているなどです。最近、寄付金は全部販管費に計上するものと思っていましたが、営業活動にまったくない寄付金の場合は営業外に計上という逆のパターンも見ました。また、本来的には売上のマイナス又は売上原価として計上するべきものが販管費に入っている場合もあります。売上と直接紐づく販売リベートなどで期間的な対応だけではなければ売上のマイナスが原則ですが販売費として販管費に計上しているケースなどがあります。しかし、これらのミスは段階損益には影響を及ぼしますが、最終損益には影響を及ぼさないため、比較的軽微なミスといえます。

では、販管費で最終損益に影響する科目ってどんなものがあると思いますか? 例えば、未払費用や未払金の未計上といった本来的には、支払い自体はまだ発生していないけれども、当期に販管費として計上しなければいけないものが計上されていないという場合があります。例えば、テレビでの広告宣伝費等は、金額が非常に大きくなるので、このような金額の大きな費用の未払い計上がなされていないとすごく大きな影響があります。1発で大きくなる項目は、間違ったときの金額が大きいので基本的に要注意ですね。 他にも、その他資産と販管費は密接な関係があり、既に資産性のないものが、一定期間で償却されている処理が継続されていないか、資産性がないものが償却もなく資産計上されていないか、一括で費用処理されているが、本来的には、一旦資産計上したうえで償却計算するべき性質のものがないかなどの視点で監査を行うことが重要です。礼金や敷引きなどは、よく上記のタイプのエラーとしてでますね。また、長期前払費用は、しっかり中身をみないといけないですね。商標権や特許権などがあるときも、内容をよくチェックしないと、まだ認可がおりておらず本来的には、費用処理しないといけない部分が資産計上されていたりしますね。

単に機械的に増減分析をする、月次推移分析をする。ヒアリングした結果を内容がよくわからないけど、経理の人が間違いなさそうにコメントしていたというだけで、そのまま調書に書くというのでは、監査になってません。わからないことは、わかるまで聞く、経理の人に聞きにくいのであれば、内容を理解してくれそうな先輩にどういう意味か聞いて、さらに突っ込んで聞いても良い事象かどうか確認するといいでしょう。監査理論的には、こういう話はないですね。手続書にやるべき作業内容が書いてあって、機械的にそれをすべて満たすように監査をすれば、良いということになってますが、深い増減分析、月次推移分析、ヒアリングをするということは、エラーを見つけるという意味では非常に重要です。

そうそう、バウチング(証憑突合)って実はとっても難しいんです。SOXの運用評価での責任者の押印があるかどうかを確認するみたいなバウチングは簡単ですが、財務諸表監査でのバウチングやSOXの整備評価手続きでバウチングはとっても難しいんですよ!販管費の監査をやるうえで、バウチング(証憑突合)をやりますが、バウチングは色々な意味で難しいです。確認状の差異調整ってなかなか1年目、2年目くらいでは難しいですが、バウチングをしっかりできるには、確認状の差異調整が最低限しっかりできるレベルにある必要があると思います。はっきり言って、証憑の金額と会計帳簿上の金額が一致したり、計上日が一致するのって当たり前です。でも、最初は、ここが一致して満足してしまいます。もちろん、私もそうでした(笑)。証憑日付が若干ズレているが、期ズレに影響しない場合はもう無視していいですよね。でも、なんとなく一致していないのが気持ち悪くてイジイジと悩んだりみたいなこともありました。。 しっかりバウチングするには、まず取引の内容をしっかりと理解して照合する必要があります。証憑を確認をして、取引の内容を理解し、本当にこの時点にこの金額でこの仕訳を切ればよいのかということを取引内容と照らして判断することが必要になります。その際、単独では金額が一致せず、他の証憑と合わせて検証しないといけない場合等もあり、追加でありそうな証憑を依頼する能力も必要となりますし、むしろ単独では一致しなくて当然というような判断をすることができることが必要となる場合等もあります。 やはり、バウチングって難しいですね!! ちなみに、私は、新人の時に初往査現場で「じゃ、とりあえずバウチングやって!」と先輩に言われた時に、バウチングってなんでしょうか?って言ってました。。

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