監査手続のいろは「投資」

有価証券や投資有価証券などの投資科目は、まとめて、投資として監査科目としての割り振りを行うのが一般的です。一般事業会社であれば、それほど、複雑な金融商品があることは少ないと思われます。一般的に、金融商品の基準に則った処理を会社が行っているかを監査することになります。保有目的に応じて、有価証券なのか、投資有価証券なのか、関係会社株式なのかなどを判断します。

また、上場有価証券か非上場有価証券かで、監査手法は大きく異なります。上場有価証券であれば、数量は確認状、単価は時価情報との照合により確認します。非上場有価証券は、数量は確認状で確認し、金額は過年度からの積み重ねで立証し、減損の有無が重要となります。非上場株式の減損の要否については、直近の決算書を入手し、一株当たり純資産金額が帳簿単価を下回っていないことを確認します。なお、減損を行った有価証券の税効果の処理は特殊になっているので注意が必要です。

また、株式について減損処理をした場合には、評価を戻すかどうかというのも様々なパターンがあることから、どのようなケースで評価を戻し、どのようなケースでは評価を戻さないということをきちんと把握しておく必要がいあります。

例えば、100%子会社については、純資産額をベースにして評価することが一般的ですが、回復可能性などを要件として減損をしたり戻したりということが発生してきます。100%子会社に貸付を行っている場合には、債務超過金額見合いについては貸倒引当金を計上する必要があります。

ゴルフ会員権は、株式方式か預託金方式かで処理が変わるので注意が必要です。一時期、よく銀行に進められてお付き合いで見たのが、金利スワップです。特例処理のものが多いのですが、特例処理が適用できないものは、時価評価が必要になるので、注意が必要です。

海外取引がある企業でよく見かけるので、為替予約です。為替予約は、そもそもヘッジ会計が適用できるのかの判定が一番難しい部分になります。事前の評価、事後の評価、ルールの有無などからヘッジ会計が適用できるかどうかの判定を行いますが、ヘッジ比率が高すぎないか、ヘッジ期間が長すぎないか、ルールを守っているかというような観点から投機ではなくヘッジであると判断できるかどうかという辺りがキモになるかと思います。為替予約は金額が大きくなるケースが多く、ヘッジ会計を適用するのか、時価評価なのかで業績に大きな影響があることから非常に重要な監査論点となるケースが多いです。