監査手続のいろは「分担」

公認会計士による監査手続きってどうやるかわかりますか?

通常の上場会社の監査だと、科目単位でチームメンバーに分担がなされます。財務諸表の科目単位での分担です。例えば、現預金、借入金、販管費は、○○さんが担当、売掛金、売上、貸倒引当金、投資は△△さんが担当という感じです。基本的には、見積り系の科目、本業部分の売上・仕入れ回り、税金系などが難易度が高く、現預金、借入金等の残高を合わせるだけで、評価が絡まない科目は難易度が低いと言われます。現金、借入金、販管費等は主に新人が担当する科目になります。

個人的には、現金も結構時間がかかって、しっかりした調書を作ろうと思うとそれなりに難しいのかなとも思いますが、確かに大きな金額のエラーが出る可能性はほとんどないかもしれません。借入金は、とても面倒です。私は、あまりやりたくない科目です。長短分類を除き、ほとんどエラーは出ないと思いますが、借入金の本数が多いと、契約書をコピーし、照合し、必要に応じて自分で長短分類や対象期間の増加・減少高を計算しないといけない場合もあります。

同様に、固定資産も証憑突合や、固定資産台帳から、増減サマリー表等を作成するという作業が必要となる場合があり、時間ばかりかかるけど何か周りのメンバーにあまり評価してもらえない科目なので好きではないです。あとは、大物の減損を適用せざるを得ない場合は、金額が非常に大きくなることもあり、大変なのでいいことはホントにない科目だと思います。ちなみに、税理士業務にて行う税務でも固定資産は非常に重要になる場合がありますね!消費税の課税事業者・非課税事業者の選択や原則課税・簡易課税の選択を誤ると大変なことになります。税務ではとにかく間違うと影響が大きいので固定資産絡みの消費税については非常に緊張感を持ちます。

販管費は、ベテランになってからは絶対といっていいくらいやりたくない科目です。理由は、、、小さなエラーがいっぱいある科目だからです。。新人の練習用にはぴったりですね。わたしは、今となっては、販管費が一番見たくない科目かもしれません。ときには、大きなエラーも・・・。公認会計士の監査においては、販管費はスルーと見る科目になるのですが、税理士業務では、消費税の課税区分が適切になされているかを見る月次業務の主戦場となる部分になります。販管費の消費税区分には結構エラーが潜んでいます。

税金科目や、税効果の科目の担当は、ある程度の経験を積んだベテランが担当することになります。しかし、税効果はとにかく、税理士業務を経験していない会計士の税金の知識は怪しい部分もあるので、なんとなく、別表間の数値の整合性を見て終わりというケースが多いようにも思います。税効果については、反対に税理士で税効果に精通している人をほとんど見たことがありません。会計士は最低限の知識は持っていますが、会計士によって大きく税効果の知識量も異なることになる部分だと思います。見積もりの科目なんですが、基準でルールが決まっているのでほとんど見積もりの要素がないため、ルール通りに取り扱わないと明らかに間違ってしまう科目なので難易度は非常に高いといえます。